tonchi。 は、現在準備中です。
2024/05/29 21:44
牧場の敷地内にある平屋の小さな一軒家に住んでいた私達家族ですが、私には3人で仲良く食卓を囲んだ記憶がありません。父と母は朝から晩まで仕事に出ているわけですから、夜には家族3人揃うはずなのに、基本的にいつも夕食は母と2人きり、ある時夕飯の前に珍しく父が帰宅、私は嬉しくて母の部屋から風呂敷を取り出し、頭にほっかぶりして大きなタンスの影に隠れて帰ってきた父を驚かそうとスタンバイしました、父が玄関を開けた音、靴を脱いだ音、廊下の引き戸を開けた音、私は全ての音を耳で確認しながら今か今かと父を待ちます。
そして、茶の間に入る音が聞こえた瞬間「今だ!!」と体を半分出したタイミングで何故か冷蔵庫を開ける音がしたんです、そして次に聞こえたのが怒鳴り声......「なんでこんなに汚いんだ!!!!!」(冷蔵庫の中が汚いことにキレたようでした.......そこまでキレる?)
思わず幼い私は半分だした体を引っ込めました、その後もしばらく父の怒鳴り声が聞こえてくる、だけど母の声は聞こえない、数分たった頃かな、父が家から出ていく音が聞こえ、THE END、私の驚かし作戦は大失敗に終わります。
怒鳴り声を聴きながらタンスに隠れ、声を殺して泣いていた私は、タンスから飛び出し母の元へ走りました、思い切り抱きついて今度は大声でわんわん泣いたけど、その時の母は動揺もせずソファに寝転がりながら私を抱っこするだけ、特に言葉はなかったように思います、母はあの時どんな気持ちだったのかなと思うけど、今はもう聞けません。
そんな父だったので、家に居ないのが当たり前になり私もその環境に慣れた頃、夜に家の電話が鳴りました、その時何故か私が電話に出たんですが、女の人の声で「ヒロミ(父)さんいますー?」幼心に私は全てを悟って「いません」と一言発してすぐに受話器をおきました。ベットで横になっていた母の元へ駆け寄り、私は少し迷いながら「女の人がパパいますか?って」と伝えると、母は「そう」と一言。
なんかドラマでよくありそうなシュチュエーションですが、現実にもあったんですよ、我が家で、こうやってどこか歪な家族が日々構築されていき、私は母とほぼ二人暮らしという生活になるわけです。
その後、私は地元の小学校に通い始める年齢になるわけですが、リアルハイジはイジメの対象に選ばれます........続く
補足:読んでいると父がクズ野郎のように感じると思いますが、私にはとても優しくほとんど怒られたことはありませんし、気の合う友達のような関係です。さらに現在も父の会社のお陰で私達親子は生活できているので感謝しています。そして完全被害者のように書いた母ですが、かなり気が強く、独特な人間だったので、今なら父の気持ちも少しは理解できます。色々な事情があったにせよ、子供にはわからないし、やっぱり家族3人自宅で夕食を食べてみたかった、朝起きて「おはよう」と挨拶を交わして色々な話をしながら朝食を食べてみたかったです。